「僕は君たちに武器を配りたい」の感想
どーも、情弱医学生です。
今回は読了本のレビュー、というより自分の感想。まとめじゃないから注意してね。
「僕は君たちに武器を配りたい」
著 瀧本哲史
医療界の構造はこれから大きく変化すると思う。
コモディティーという言葉を紹介したい。コモディティーとはスペックが明確に数字あるいは言葉で定義できるものだ。
以前は新商品で高かったものが、時がたつと品質は変わらないまま安くなる。これは当時の新商品がコモディティー化したことを意味する。
多くの企業が競争する高度な資本主義社会では、新商品がすさまじいスピードでコモディティー化する。最近ではどこの企業が出した商品でも、品質に大差がないことが多いのはこのためだ。高品質な商品が低価格で買えるようになったというのは、おそらくみんな実感するところだろう。
さて、高度な資本主義社会でコモディティー化するのは身の回りの日常用品だけではない。急速なコモディティー化の波は、労働力という商品にも押し寄せている。就職が難しくなっているといったらイメージがつくだろうか。就職とは個人が自身の労働力という商品を企業に売るための場所である。個人の商品価値を上げるものとして、これまでは学歴や資格が使われてきた。しかし、以前であれば他の人と差を付けられていた学歴や資格も、いまやコモディティーとなりつつある。
医療界は他の産業界とは少し違ったところだ。健康は大切という暗黙の了解からか、資本主義の原理から国に守られてきた節がある。そのためその形態が歪なのは、医療問題からあきらかだ。しかし、今は守られているからといって、いつまで安泰かはわからない。
私は医療界の先行きには懐疑的である。
医師の給料が比較的高いのには理由がある。一つは医師になれる人の数に制限があるからだ。医師になるためには医学部に入って、国が定める医師国家試験に合格する必要がある。患者さんは多いのに医師が少なければ、医師の一人当たりの給料は高くなる。しかし、今後日本の総人口は減っていくので患者さんは減るし、医師の数は差し引きで増加傾向にある。
もう一つの理由は単純に長時間の労働しているからだ。当然、勤務場所によって労働時間の差はあるが、給料が平均より高い一因ではあるだろう。しかし、これも働き方改革で見直されてきているようだ。
長期的に見れば医師の給料はこれから下がってくるだろう。これまでの優位性が薄れていくということだ。
とはいえ、職業としての医師の人気は変わらないはずだ。大変な職業ではあるが、職場を選ばなければ安定してある程度の給料がもらえるからだ。
いずれにせよ、他の業界同様に医療界も大きく構造が変わっていくはずだ。