情弱医学生の独り言

情弱医学生の頭の中。人生設計、お金、対人関係、日常などについて考えたことをつらつらと。

フリーエージェント社会の到来

どーも、情弱医学生です。

今回は、読了本のレビューで、

フリーエージェント社会の到来 新装版」

著 ダニエル・ピンク

 

副業に関係する方にお届けします。

 

フリーエージェント(FA)とは特定の雇用主がいない人を指す。日本でいうフリーランスだ。アメリカでは四人に一人がFAである。彼らの労働倫理は、自由、責任、自分らしさ、自分なりの成功、の4つに特徴づけられる。FA間では横の信頼関係が命だ。Win-Winな関係を作る達人がFAの中では一番強い。

一方、オーガニゼーション・マン(organization man)とは日本でいう正社員のような人だ。起業精神旺盛なイメージのあるアメリカだが、四人に三人はオーガニゼーション・マンである。彼らの労働倫理は、保障と忠誠心の交換である。保障とは会社が正社員に終身雇用を約束し、マイホームや家族を養うお金を用意してくれること。忠誠心とは会社員が自分がやりたいことを我慢してでも、会社に尽くすことである。それは均質的で、個性的なものからほど遠く、たとえるなら「全員に同じサイズの服」を着せるようなものである。

近年の傾向として、オーガニゼーション・マンからFAへの転身が増加している。

これは社会構造の変化によるものだと著者は考えている。

変化の一つ目は、効率化を進めることによる成長の鈍化である。これまでは会社に忠誠を尽くすことで、会社は十分な利益をあげ、正社員に保障を与えることができた。しかし、会社はほとんどの部分を効率化してしまって、次第に利益が上がらなくなってきている。経営も苦しくなり、会社は正社員に約束していた保障を反故にし始めたのだ。これでは、正社員も何のために我慢しているのかわからない。

二つ目は、生産手段の汎用化だ。

産業革命以降、商品の生産手段は工場など、個人では所有できないほど大きく、高価なものだった。そのため、個人は当然のように会社に雇われ、生産手段が置いてある職場に向かうようになった。近年になって、状況は一変した。IT機器が汎用化され、個人が生産手段を容易に入手できるようになったのだ。つまり、個人に初めて雇用されないという選択肢が開かれたのだ。

三つ目は、全体として生活水準が上がったことだ。

先進国と発展途上国を見れば一目瞭然だ。先進国の人々にも不満はあるだろうが、比較的いい暮らしをしている。最低限の生活は保障されているようなものだ。すると、人々の仕事に求めるものが変わってくる。そう、やりがいだ。「同じ制服を着る」正社員の働き方に我慢できなくなってくる人が増加しているのだろう。

四つ目は、会社の寿命がどんどん短くなってきていることだ。

会社はあらかたの効率化を終え、ライバルとの競争はより過激になっている。イノベーションを続けなければ、生き残ることすら難しい時代に突入したのだ。この構造を一歩引いて観察すると、組織が短命になってきていることが分かる。これはオーガニゼーション・マンの特定の雇用主に引退まで忠誠を誓い、その時まで保障してもらうという前提が崩れることを意味する。平均寿命の伸びに伴い、退職年齢が延長しているのも計画破綻に拍車をかける。特定の雇用主のオーガニゼーション・マンであり続けるのは現実的ではなくなってきている。

オーガニゼーション・マンからFAへの働き方の転換によって、二次的な変化も起きている。例えば、FAのニーズをターゲットにしたビジネスやFAの労働組合のようなもの(FAに特定の雇用主はいないので、あくまで機能的な共同体)の出現などが挙げられる。一方、対応が遅れている分野もある。国の制度はいまだに、オーガニゼーション・マンの働き方を想定したものになっている。今後FAの増加に伴って、制度が変わっていくことが予想される。

これまで述べてきたように、社会構造の変化によって多くのFAが産声を上げている。社会が変われば、内包される人々も変わっていくのは自明の理だ。

社会構造の変化は、今この瞬間にも起こり続けている。私たちはそれを俯瞰できるようになる必要がある。社会構造の全体像が見えていなければ、自分のベストポジションは分からない。

新型コロナウイルスは非常に分かりやすい例だ。巷で叫ばれているように、リモートワーク優勢の時代になっていくのは理解しやすい。

しかし、変化はいつも分かりやすい姿をしているとは限らない。私たちが気が付かないだけで、実際には少しずつ社会は変化している。そして、気が付いた時には、社会に取り残されていたなんてことも十分考えられる。

 

ゆえに、私はこの本を読んで、社会構造の意向を俯瞰する目線で、行動する必要性を感じた。