情弱医学生の独り言

情弱医学生の頭の中。人生設計、お金、対人関係、日常などについて考えたことをつらつらと。

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今回は読了本の感想で

「幸福のための人間のレベル論」

著 藤本 シゲユキ

 

レビューというより、感想と思ってください。

 

 

成功者のとにかく行動しろというアドバイスは、内容を端折り過ぎだと思う。

 

「幸福のための人生のレベル論」を読んだ。要約すると世間体、人からの評価と固定観念から脱却することで人は幸せを感じやすくなるという内容だった。

 

結論だけを見て、みなさんどう思うだろうか。多くの人が難しいと感じるけれど、そうかも、と納得するのではないか。頭では分かっているのだ。まあ、できないけど。

 

なぜ人は頭で分かっていることを行動に移せないのだろうか。

 

私は2つの理由があると考えた。

 

一つ目は分かっていると言いつつ、頭で100%は理解していないからだ。もし本当に頭で100%理解したら、さすがに行動するだろう。例えば100円と1000円どちらが欲しいと問われれば、1000円をもらうはずだ。ここで1000円をもらうという行動がどうしても取れなくて悩むという人はいないだろう。これは非常に単純な例だ。

 

一方、現実は違う。損得を100%理解するために、複雑な論理を丁寧に追ったり、不確実性を確率で表したりする必要がある。普通の人が成功した人から理屈を説明されても、70%くらいしか理解できない。もしかすると、成功した人も100%は理解していないかもしれない。なぜなら現実の不確実性を頭で100%理解することなんて、私にはできるとは思えない。

 

二つ目は、成功者の主張は正しい可能性があるけれど、自分のケースに限って、それを認めたくないからだ。現実は人間にとって不確実なものだ。この世の中で「絶対」ということは絶対にないように、成功者の主張も100%ではない。行動しない人は程度の差こそあれ、成功者の主張が正しいことを認めていると思う。しかし、自分のケースに限っては成功者の主張が正しいと認めようとはしない。なぜならそれを認めることは、今までの固定観念即ち自分を否定することだからだ。彼らが不確実性を盾に「失敗したら~」などと例外に焦点を当てるのは、主張に対して議論するためではなく、固定観念を守るためだ。つまり、彼らにとって重要なのは主張の真偽ではない。真偽が頭でわかるわからない以前の問題で、彼らはそもそも行動を起こすつもりがないのだ。

 

いろいろ理屈をこねたが、結局どうしたら行動できるのか。成功者は判で押したように、やるかやらないかだ、としか言わない。やる前の人からすれば、「そりゃ、結果がすでに出てればねぇ…」という感じだろう。仮にも成功者なら、もっとマシなアドバイスはなかったのか。これではニワトリが先か、タマゴが先か、話が進まない。

もう少しこの矛盾を分解してみよう。

 

前述したように、現実を頭で100%理解することは不可能だ。そこで不確実性を盾に、固定観念が行動の変化を邪魔しにくる。

 

しかし、固定観念の妨害も完璧ではない。誰しも辛いながらも、早起きなど行動を変えようとしたことはあるはずだ。そんな時は何となくかもしれないが、変わりたいと思っていたはずだ。この「何となく」は新しい行動を正当化する理屈をいくらか頭で理解していたということだと思う。そのような試みの結果は、ある時はうまくいったり、なんらかの理由で三日坊主になったりいろいろだ。

 

そう、ある時はうまくいくのだ。望ましい行動の変化が習慣になることもある。最初はきついかもしれないが、習慣になるころには何とも思わなくなる。これは行動が習慣になるころには、固定観念が妨害をやめていると考えられるのではないか。

 

固定観念が妨害をやめるのはどんなときだろうか。それは新しい行動を認めてやってもいいかなと自分の心が傾いた時だ。

 

これは他者から新しい行動を認められたときだったり、目に見える行動の結果に気付いたときだったりする。早起きで言うと、朝早く起きたことを親に褒められたり、朝のさわやかな空気の清々しさに気づいたとき、早起きも悪くないなと自然に思える。

 

成功者が苦しくても耐えていれば急に視界が開けると言うのは、この瞬間のことである気がする。この分水嶺を超えれば、固定観念の向かい風は追い風に変わる。

 

成功者が言うように王道は目の前にある。しかし、王道は得てしてこれまで培ってきた固定観念に背くものだ。加えて、王道は正しいかもしれないが、私たちが不確かな現実に生きる以上、絶対はない。

 

私たちは正しい理屈にすがりつつ行動を続け、心が傾く瞬間まで耐えなければならない。

 

以上を踏まえての成功した先人のありがたい言葉ではあるが、成功者のとにかく行動しろというアドバイスは、内容を端折り過ぎだと思う。